学生運動
数年下の世代がちょうど学生運動に夢中になっていた頃、彼女たちは既に学部を終了し、何となく大学に籍を置きっぱなしにしながらモラトリアム時代を送っていました。
同じ理想に燃え、同じ幻滅を大人の社会に対して抱いていた仲間たちの間では、「国を脱出する試み」が流行っていました。
そんな時代の波に乗るようにして若い夫婦はインドへと旅発つ。
お腹に宿った最初の子も連れて・・・。
「ベンガル語を学び、サリーを着て過ごしていたあの時代は、未知の文明に触れた興奮と、新しい真理を発見したような幸福感に満たされた充実した日々だった」イソドにおける女性の位置単なるヨーロッパ的な尺度ではカバーしきれない服従と力のバランスや、手で食べるという経験を通して肉体的に悟った「文明と手」の凝縮された関係、そして西欧的傲慢さの自覚や、自然と人間の共存ということ・・・。
こうしてたくさんのことを学び、たくさんのことを考えた次々に生まれた子供たちの育児をしつつ経験は、だが、若い二人には少々、重過ぎたのかもしれません。
「それぞれの仕方で新しい人間に生まれ変わった」二人は、デスクトップ仮想化研究員としての夫の任期が終了し、帰国して間もなく、離婚することになる。